創作話

短編『蟻』

鉛色の空気。五畳一間の住処。その中央で男は全身に敗北を纏い立っていた。裸だった。背骨がだらしなく曲がった53歳の男は肩を震わせながら「すみません、すみません、ありがとう、すみません、ありがとう、殺してくれ、食べてくれ」とパンクしたタイヤのよ…